ブランド名の疑惑!?

 
肉がどこ産かというのは信用できんというようなことがいわれとって、中には証明書を発行しとるところも出とるやろ。証明書を出すところはそれだけ自信があるんやろうな。一生懸命につくったブランド名を偽物に汚されてはかなわんもん。魚の場合もまあいろいろあらい。
 
たとえば、ふぐといえば下関が有名よ。いつの頃からからか、下関の市場はふぐが高く売れるという評判がたって、韓国近くや九州、四国のふぐをとる漁師がこぞって下関に持っていくようになった。とくに「南風泊(はえどまり)」という市場は日本一ふぐが集まるといわれとらい。数が集まる分、ええふぐが集まる確率も高いけん、下関のふぐならまちがいない、という風にも言われるようになったんよ。
 
でも最近は安いふぐを食べさせるところが増えて、下関でも天然のふぐがあんまり売れんようになった。代わりに養殖ふぐが売れよるんやと。天然でも養殖でも「下関から直送」というのには変わりないけんな。ただ、養殖のふぐはどこで育てられてもいっしょよ。ええふぐが多いという下関の評判も関係なかろ。
 
全国的に有名になったサバ、アジといえば「関サバ」「関アジ」。大分の佐賀関(豊後水道)という漁場で捕れるサバ、アジのことよ。伊予灘と宇和海の潮がぶつかり合う場所やけん、エサが豊富で体も鍛えられてよう肥えとる。脂もしっかりのっとって確かな味をしとる、というのはご存知のとおりよ。実はこの「関サバ」と「関アジ」、愛媛の佐田岬では「ハナサバ、ハナアジ」と呼ばれよるんよ。
 
どういうことかというと、関サバ・関アジが捕れる漁場は大分から船で三十分くらいのところにあるんやけど、そこは愛媛の佐田岬からも三十分くらいなんよ。佐田岬の船ももちろんええ魚を捕りたいけん、同じ漁場で漁をする。佐田岬の市場ではその漁場で捕れたサバやアジのことを「ハナサバ、ハナアジ」と呼んどる。
 
さらにその漁場にはここ(双海・下灘)の船も行きよるんよ。大分と佐田岬の船は一本釣りで漁をするんやけど、下灘の船は網で捕る。一般的には釣りであげた魚ほうがキズがないけんええというけど、一本釣りはあんまり大きいやつは捕れん。糸が切れてしまうけん。その点、網は小さいのも入るけど、大きいのも捕れる。サバやアジは大きいほど身がしっかりしてうまいんよ。
 
つまり、同じ漁場で捕れた全く同じサバとアジが、大分の市場にあがれば「関サバ・関アジ」、佐田岬の市場にあがれば「ハナサバ・ハナアジ」、下灘の市場にあがればただの「サバ・アジ」というそれぞれ別の名前で呼ばれるようになっとる、ということなんよ。ただ、大分のは売り方がうまかったんよなー。「関サバ・関アジ」はものすごい高い値がつくけど、下灘の船がとったやつはただのサバ、アジ。わしもこのサバやアジは好きやけん、あがったら仕入れて刺身にしたり、しめさばにしたり、さば寿司にして食べる。安いけど最高級のサバやアジよ。
 
どこそこのなになにやから、これはうまい、とかまずい、とかで食べるんはそろろろやめたほうがええんじゃない? 海の目の前、港の近くにある店でも養殖の魚を扱いよるところはいっぱいある。日本人は商売が上手いけんな。いちばん確かなんは、自分の舌よ。舌が満足したらええんやない。
 
うんちくはあとでついてくるもん。頭が満足するもんやけん。
 

 


2014年3月17日